日本でステーブルコインを発行するのは誰?銀行・信託・資金移動業者の違い
銀行、信託会社、資金移動業者が同じ1円を発行しても、守る仕組みと狙う市場は同じではありません。日本でステーブルコインを発行できるのは、思いついた企業なら誰でも、というわけではありません。資金決済法の枠組みでは、銀行、資金移動業者、信託会社が発行主体になり得ます。さらに、実際に利用者へ販売・交換する会社や、ブロックチェーン基盤をつくる会社は別になることがあります。の実例で役割を分けます。
この記事は、2026年8月18日時点の情報をもとに作成しています。
日本では銀行・資金移動業者・信託会社が法定通貨連動型ステーブルコインを発行できる
なぜ「日本では銀行・資金移動業者・信託会社が法定通貨連動型ステーブルコインを発行できる」といえるのでしょうか。結論として、日本の電子決済手段にあたるステーブルコインには、預金債権を電子的に移転する銀行預金型、資金移動業者が発行する資金移動業型、信託受益権を使う信託型があります。どの方式でも、円や米ドルに連動するという見た目だけでなく、利用者が誰へ償還を請求できるか、裏付け資産を誰が持つかが重要です。金融庁の制度ページでは、電子決済手段の取引を担う登録事業者も公表されています。
発行者の業態が違えば、残高上限、送付条件、信託財産の扱いなども変わります。『大手グループだから全部銀行預金と同じ』とは限りません。商品説明書や利用規約で、法的な発行方式を確認します。
発行する会社と販売する会社は、なぜ別になる?
答えからいうと、資金移動業型の実例がJPYCです。JPYC株式会社は2025年8月に資金移動業登録を受け、日本円の預貯金と国債を裏付けに、1JPYCと1円の発行・償還を行います。同社の公式発表では、Ethereum、Avalanche、Polygonでの発行も説明されています。
信託型の実例がJPYSCです。SBI新生信託銀行が発行者となり、信託財産を管理します。一方、利用者向けの流通はSBI VCトレードが担います。JPYSCの提供開始資料を見ると、発行者、流通会社、共同開発会社が分かれています。銘柄を調べる時は、この役割分担を一行で言えるようにすると理解しやすくなります。
購入者は発行者だけでなく裏付け管理者・販売会社・技術基盤の責任範囲を確認する
では、なぜ「購入者は発行者だけでなく裏付け管理者・販売会社・技術基盤の責任範囲を確認する」といえるのでしょうか。ステーブルコインは一社だけで完結しないことがあります。発行者が円への償還義務を負い、信託銀行が資産を管理し、登録事業者が売買や保管を行い、技術会社がブロックチェーン基盤を提供する形です。どこかで障害や破綻が起きたとき、止まる機能と相談先も異なります。
会社の理念も大切ですが、公開されていない狙いを推測するのではなく、公式発表と提供機能を並べて確かめましょう。決済の効率化を掲げながら外部送付がまだできないなら、今は社会実装の途中です。将来像に共感しても、現在の用途を満たさなければ待つ選択ができます。
『豊かな社会へつなげる』という言葉には期待したくなります。でも、利用者が送れず、受取先も少ない段階なら、今は誰のための通貨なのでしょうか。
新しい金融インフラは、最初から完成しているものではありません。だからこそ、発行者の理念を否定するのではなく、裏付け、償還、送付、相談窓口という実際の機能で進み具合を見たいです。夢を応援することと、自分のお金を急いで預けないことは両立します。
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