ステーブルコインは儲かる?利回りと円の損益を分けて考える

ステーブルコインで利益が出る可能性はあります。ただし、価格が安定する仕組みと、持ち主の資産が増える仕組みは別です。貸出の利用料が増えても、費用や円高で円の損益がマイナスになる場合があります。誰が報酬を払い、円へ戻したときに何が残るのかを順に見ましょう。
情報確認日:2026年10月4日。数値は仮定の計算例であり、実際に運用した結果や現在の募集条件ではありません。
持っているだけで増える?
たとえばCircleのUSDC規約は、USDC自体が保有者へ利息を生むものではないと説明しています。準備資産から収益が出ても、保有者がその収益を受け取れるわけではありません。
USDCで貸出の利用料を受け取るなら、貸出サービスの条件を引き受けます。SBI VCトレードの貸コインは、同社へ一定期間貸し出し、数量や期間に応じた利用料を受け取る仕組みです。通常の保管と、貸出契約を結ぶことを分けて考えます。
DeFiの一例であるAaveは、供給したトークンを借入に使うプールへ移し、借入利用率や設定に応じた利息を説明しています。供給金利は固定ではなく、借入や返済などで変わります。表示された高い年率が一年続く前提では計算できません。
関連企業の株式を買う方法も、ステーブルコインそのものの保有や貸出とは別の投資です。会社の株価・配当を、トークンの保有者への報酬として足し込まないようにします。

年率5%ならどれくらい増える?
年率は一年に換算した割合です。単利・一年365日と仮定すると、1,000 USDCを年率5%で365日貸し出す利用料は50 USDC。同じ年率でも84日なら、1,000×0.05×84÷365で約11.51 USDCです。84日間で5%増える意味ではありません。
これは仕組みを理解するための仮定です。SBI VCトレードの案内も「貸出数量×年率×期間÷365」で利用料を計算し、元の数量に利用料を加えてトークンで返すとしています。年率・期間・数量上限・端数処理は、利用するコースの募集条件で確認します。
年率5%という表示だけでは、期間中の受取額も円の利益も決まりません。契約日数、単利・複利の扱い、受け取る銘柄、費用を確認してから計算します。
円へ戻すと利益はいくら残る?
次は、数量が増えた場合でも円の損益が変わる計算例です。1,000 USDCを15万円で購入し、一年後に1,050 USDCが返ったと仮定します。売却・円への出金にかかる追加費用を合計1,000円と置き、実際に売れる1 USDCの円価格を変えて比べます。税金はまだ引いていません。
| 仮定の売却価格 | 費用を引いた税前の損益 |
|---|---|
| 1 USDC=160円 | +17,000円 |
| 1 USDC=150円 | +6,500円 |
| 1 USDC=140円 | −4,000円 |
例えば160円で売れるなら、売却代金は16万8,000円です。そこから追加費用1,000円と買付総額15万円を引くと、1万7,000円の利益になります。
どの行も受け取った数量は同じです。売却価格の違いだけで、円では利益にも損失にもなります。ここで置いた価格と費用は現在の相場や取引所の見積りではありません。実際の計算では、買付総額、売却時の提示価格、送付・出金などの費用を自分の条件に置き換えます。
外国通貨建てのステーブルコインは、円換算の価値が為替で下がる可能性があります。SBI VCトレードの電子決済手段取引説明書も、為替リスクと買付・売付価格の差であるスプレッドを説明しています。1ドルに連動することと、円の元本が守られることは同じではありません。
参考:電子決済手段取引説明書(VCTRADEサービス)|SBI VCトレード
税引後の手取りも別途確認します。国税庁は暗号資産のレンディング等で取得した資産について、取得時の価額による課税を説明しています。ただし、銘柄が暗号資産か電子決済手段か、個人か法人かで確認するルールが違うため、ステーブルコインの利益を一律の税率や計算方法で処理しません。
参考:暗号資産等に関する税務上の取扱い(令和7年12月)|国税庁

利回り以外に何を比べる?
貸出では、いつ返してもらえるかと、貸出先が返せなくなった場合の扱いを先に見ます。SBI VCトレードの貸借説明書は、貸出資産が資金決済法上の分別管理の対象外で、原則として中途解約できず、同社が倒産すると全部又は一部が返らないリスクを説明しています。同社から担保の提供もありません。
参考:暗号資産等貸借取引説明書(VCTRADEサービス)|SBI VCトレード
DeFiも「銀行のようにいつでも引き出せる」とは考えません。Aaveの引出し案内では、借入に回っていない利用可能な流動性が必要です。トークンを自分の借入の担保に使っている場合は、返済などが必要になる場合もあります。利用先の引出し条件と、使うネットワークの費用まで確認します。
まず候補を一つ選び、報酬の支払元、年率と日数、受取銘柄、円へ戻す費用、途中で取り出す条件、返還されない場合の損失を書き出してください。生活費として使う予定の資金を、引出し条件が分からない運用へ回さないことも判断の一つです。
円の受取額と損失の可能性を説明できるようになってから、同じ目的の預金・債券などとも条件を比べましょう。仕組みや出口が分からなければ、申し込まずに資料を読むところで止めて構いません。







