ステーブルコインの歴史とは?PayPayやSuicaのように広がる可能性を3分で解説
ステーブルコインがPayPayやSuicaのように広がる可能性はあるのでしょうか?
今の日本で、普段の買い物に使う決済手段をすぐ置き換えるとは考えにくいです。PayPay、Suica、銀行振込がすでに便利だからです。
ステーブルコインが広がるとすれば、今の決済が苦手な「企業間の送金」「海外とのやり取り」「ブロックチェーン上の資産取引」からだと考えられます。
この記事は、2026年7月29日時点の情報をもとに作成しています。
ステーブルコインは何のために生まれた?
代表的な初期のステーブルコインであるUSDTは、2014年に発行されました。
最初の主な役割は、ビットコインなどを売買するときに、値動きの大きい暗号資産から一時的に資金を移すことでした。銀行へ出金せず、ブロックチェーン上で米ドルに近い価値を持つ資産へ交換できるようにしたのです。
USDT Introduced to TRON Blockchain|Tether
2018年には、米ドルの預け入れと交換の仕組みを前面に出したUSDCが始まりました。裏付け資産や情報公開を確認する流れが、より重視されるようになります。
Introducing USD Coin|Circle
2022年のUST崩壊で何が変わった?
2022年には、米ドル連動を目指していたUST(TerraUSD)が大きく値崩れしました。
USTは現金や国債で支える型ではなく、別の暗号資産との交換によって価格を保とうとした仕組みでした。米証券取引委員会(SEC)によると、連動が崩れた後、USTと関連トークンの価格はほぼゼロまで下落しました。
Terraform and Kwon to Pay $4.5 Billion Following Fraud Verdict|SEC.gov
この出来事を通じて、「1ドル連動」と書かれているだけで安全とはいえず、発行元と裏付け資産を見る必要があると広く認識されました。
ステーブルコインの競合は何?
普段の支払いでは、すでに強い競合があります。
| 支払手段 | 利用者にとっての強み | ステーブルコインが勝つには |
|---|---|---|
| PayPayなどのQR決済 | アプリで手軽に支払え、店側も導入しやすい | ポイント以外の分かりやすい利点が必要 |
| Suicaなどの電子マネー | 改札や少額決済を素早く済ませられる | 同じ速さで、さらに使える場所を増やす必要がある |
| 銀行振込 | 給料・家賃・企業間取引などで定着している | 海外送金や24時間対応などで優位性を示す必要がある |
つまり、消費者が「ブロックチェーンだから使う」とは考えにくいです。
Suicaが広がったのは、改札を通る、コンビニで払うといった日常の手間を減らしたからです。ステーブルコインも、利用者が意識しなくても、既存の方法より安い・早い・確実という体験を作れなければ広がりません。
どこから広がる可能性がある?
有力なのは、個人のコンビニ決済よりも企業間の決済です。
たとえば、デジタル証券を買うときに、証券の受け渡しと代金の支払いを同時に行う仕組みや、国をまたぐ企業間送金では、ステーブルコインが使われる可能性があります。
日本銀行も、3メガバンクが事業会社の社内外決済での利用を念頭に、円建てステーブルコインの実証実験へ取り組む動きを紹介しています。
〖挨拶〗神山理事「点から線へ、線から面へ」(第10回中央銀行デジタル通貨に関する連絡協議会)|日本銀行
これは、ステーブルコインが今すぐSuicaの代わりになるという話ではありません。まずは、現在の銀行振込や海外送金では処理が複雑になりやすい場面から、使い道を探している段階です。
まとめ
ステーブルコインは、暗号資産の売買をしやすくするために広がり、破綻事例を経て、裏付け資産や制度が重視されるようになりました。
今後、PayPayやSuicaのように広がる可能性はあります。ただし、それには「今の決済手段より便利な理由」が必要です。
当面は、日常の買い物を置き換えるよりも、企業間決済、海外送金、デジタル証券の取引などで使い道が増えるかを見る方が、現実に近いでしょう。
まいのあとがき
PayPayやSuicaも、最初は「わざわざ使う必要ある?」と思われていたはずです。
でも、現金を出さずに支払える、改札を止まらずに通れる、といった分かりやすい便利さがあったから広がりました。
ステーブルコインも同じで、技術がすごいだけでは足りません。私たちが何も考えずに使えるくらい便利になったとき、初めて日常の決済手段と競争できるのだと思います。
参考にした公式サイト・公的機関
- USDT Introduced to TRON Blockchain|Tether
- Introducing USD Coin|Circle
- Terraform and Kwon to Pay $4.5 Billion Following Fraud Verdict|SEC.gov
- 〖挨拶〗神山理事「点から線へ、線から面へ」(第10回中央銀行デジタル通貨に関する連絡協議会)|日本銀行
