会社がJPYCで請求書を払うと経理は楽?照合と総費用を確認

JPYCで請求書を払っても、支払いの記録と請求書・帳簿がつながらなければ、経理の仕事は減りません。照合や入力が減るか、準備と確認が増えるかを、銀行振込と同じ業務の範囲で比べましょう。受け取る取引先の負担も合計に入れます。
情報確認日:2026年10月4日。会社での導入、会計ソフトとの連携、請求書の支払いは実施していません。時間と金額の例は仮定です。
支払履歴だけで経理は終わる?
送った通貨・数量・時刻が分かっても、その取引がどの請求書を支払ったものか、帳簿へどう記録するかは別に確認します。請求書番号、取引先、請求額、支払いを特定する情報、承認記録を社内の管理データで関連付ければ、後で確認する手がかりになります。これは業務設計の例で、JPYCに標準の自動照合・仕訳機能があると確認したものではありません。
国税庁の2026年6月の資料は、請求書等の電子取引データの保存と、帳簿への自動連携を説明しています。電子で受け取った請求書等はデータを保存し、改ざん防止や確認できる環境、検索など、自社に適用される要件を確認します。送付履歴を残しただけで、請求書の保存や帳簿への記録が済んだとは判断できません。
参考:電子帳簿等保存制度を活用して、デジタル化をさらに進めてみませんか(2026年6月)|国税庁
取引先の名前や請求書の本文を、そのまま公開のブロックチェーンへ載せる必要はありません。何を社内に保存し、どの情報で支払いと結び付けるかを決めます。会計ソフトの対応、二重入力が残る項目、例外を人が確認する方法まで見てから、自動化の効果を測りましょう。
JPYCの会計処理はどう確認する?
企業会計基準委員会の実務対応報告第45号は、対象となる電子決済手段の取得時に券面額を基に資産計上し、取得価額との差を損益処理する取扱いを示しています。移転・払戻し時の取崩し、期末の評価も定めています。支払いに使うことから、帳簿上も普通預金と全く同じ処理でよいとは決めません。
対象範囲も確認します。外国電子決済手段は、利用者が電子決済手段等取引業者へ預託しているものに限定されています。外貨建てには円換算の取扱いもあり、JPYCについての整理を自己管理のUSDCなどへそのまま移せません。具体的な勘定科目、請求に係る債務の消込み、税務は、自社の取引内容と適用する基準に合わせて会計・税務の担当者へ確認します。
参考:実務対応報告第45号―特定の電子決済手段の会計処理・開示|企業会計基準委員会
2026年8月17日には第45号の改正案が公表されています。10月4日の確認時点ではコメント募集の案として読み、確定した基準として扱っていません。導入を決める時点で、対象の通貨と保管方法に適用される最新版を読み直してください。
参考:実務対応報告公開草案第74号(第45号の改正案)の公表(2026年8月17日)|企業会計基準委員会

銀行振込より費用は減る?
JPYCの契約書面は発行・償還の手数料を無料とする一方、発行のための銀行振込費用と、移転に伴うネットワーク費用を区別しています。償還手数料は将来徴収する可能性も記載しています。発行・償還が無料だから、請求書の支払い全体が無料になるとはいえません。
参考:契約締結前交付書面兼説明書(資金移動業・2026年9月24日版)|JPYC
| 比較する項目 | 合計に入れるもの |
|---|---|
| 資金を動かす費用 | 銀行振込、ネットワーク、使うサービスの利用料 |
| 支払側の作業 | 導入・承認・照合・入力・例外の確認 |
| 受取側の負担 | 受取確認、円への償還、記録と問い合わせ |
仮に月100件の照合が1件3分なら300分です。連携後に1件30秒で済めば50分で、差は250分。ただし、追加の設定・例外確認に月60分を使うなら、合計で減るのは190分です。実測値ではなく、同じ範囲で比較するための例です。初期の導入時間や取引先の作業は、この計算に別途足します。
作業時間を減らせても、すぐに給与などの支出が同額減るとは限りません。現在の銀行振込でも、請求書や会計データの連携を改善できるかを先に比べます。通貨を変える効果と、照合を自動化する効果を分けて測ると、どの変更が役立ったかを判断しやすくなります。
取引先と試す前に何を決める?
JPYC EXには法人アカウントの手順があり、法人の情報や実質的支配者の確認、審査が案内されています。代表権限を持つ登記上の代表者による申請が原則で、別の担当者には追加確認が必要となる場合があります。個人向けの手順や、自動開設できる条件をそのまま法人へ当てはめません。
参考:法人アカウントの開設手順(2026年7月29日)|JPYC
使うJPYCの種類・ネットワーク・数量、送付先、支払期限と支払い完了を確認する方法、費用の負担者、返品や返金時の対応を取引先と決めます。請求書・承認・取引記録・帳簿の対応も、会社の中で確認できる形にします。
受取側が銀行口座で円を使う場合、トークンの受取時点だけで業務完了にしません。JPYCの償還はアカウントや登録情報を使う手続きで、確認に翌営業日以降までかかる場合も書面に記載されています。支払日までに円を使えるか、受取側の手順と予定を含めて確認してください。
参考:契約締結前交付書面兼説明書(資金移動業・2026年9月24日版)|JPYC
まず、実際の送付を伴わない確認から始めましょう。取引先の受取条件を確認し、請求書と記録を結び付ける方法を会計担当者と検討します。その後、双方が同意した範囲で試す場合は、銀行振込と比べる総費用、作業時間、照合できなかった件数を先に決めます。導入の判断は、支払う会社と受け取る会社の両方で負担が減るかを見て行ってください。







